かんぽ生命の新ながいきくん(おたのしみ型)を解約するデメリットなど

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かんぽ生命の新ながいきくん(おたのしみ型)の解約は得なのかデメリットなのか


このページは、貯金を貯めたい人のための質問と回答のコーナーです。定期預金や投資が大好きな管理人が、皆様のお悩みを無料でご回答差し上げます




頂いたご質問(2018年6月、さくらさま、50代・女性)

いつも参考にさせていただいています。昨年、鬼様のサイトを見つけ、目から鱗、後悔の山、自分の馬鹿さを反省しているところです。

そこで、ずっと悩んでいる問題について、是非ご教示いただきたくご相談させていただきます。これは、鬼様のサイトを見つける直前に、積立の代わりくらいの気持ちで契約してしまい、解約すべきか悩んでいるものです。

商品名:かんぽ生命特別終身保険「新ながいきくん(おたのしみ型)」65歳払込済特別終身保険
・平成28年7月、55歳で加入
基本契約:500万円、特約無し
保険期間:終身
保険料:月額38、350円×12カ月→少しでも得になるようにと年払い前納を選択し、毎年7月に455,981円払込
保険料払込期間:10年間

かんぽ生命の新ながいきくん(おたのしみ型)の解約


保険料払込済年齢65歳 65歳、70歳、75歳、80歳の時、生存保険金100万円×4回 残り100万円が死亡保障のようです。(長寿の家系ですので80歳は超えそうです) 3回目の払込が来月に迫っています。

終身保険については、多くはありませんが別に加入しており、さらには必要としていません。

賞与がないので、50万円弱の年払い保険料のためにソニー銀行の積立をしていますが、積み立てたお金は保険料ではなく定期預金にする方が、正直何十倍も楽しいです。

そもそも、この商品に入り続ける価値があるでしょうか? 損をしても解約した方が賢い選択でしょうか?

鬼様のホームページを拝見し、保険で財産形成は間違っていると分かってきましたが、一旦契約してしまったものをどうしていくか困っています。ご助言くださいますよう、どうぞ宜しくお願い致します。



回答:解約して損失を計上するのが「勉強代」と思えない場合はそのまま継続がベター

さくら様、当サイトへの問い合わせ、ありがとうございます。保険商品の相談このところ、何故かとても増えています。それだけ、どうして良いか悩んでいる人が多いのでしょう。

保険は定期預金と違い、途中で解約した場合には満額が返ってこない事が大半です。

そして今回ご相談いただいた、かんぽ生命の特別終身保険「新ながいきくん(おたのしみ型)」は、解約後の払い戻し金額が少なく、正直、勉強代を支払ったと思って解約できないのであれば、そのまま継続した方が良いかと思います。

かんぽ生命の新ながいきくん(おたのしみ型)のデメリット


そのまま継続するということは、多額の資金を自由に使えない不自由さの代わりに、損失を限りなく少なくするという意味になります。

損失を最小限にして保険の生涯保障を続けるか、損失と引き換えに多額の資金を自由に使えることを選ぶか、ここはご自身で決断する必要があります。もしも運用の知識や一定程度の能力があるならば、損失覚悟で不要な保険を解約してでも、資産運用専用の金融商品で運用します。

ただ投資の知識がない人の場合は変に投資をやってさらに損失を増やすのもまずいでしょうし(投資の世界では、損を取り戻そうと思うと傷口を広げて大損する事が極めて多い)、定期預金で損失を取り戻すのは、金利を考えるとほとんど不可能です。

痛い目に合ったけども勉強になったと思って、損を取り戻さず、リセットして資金を正しく運用する気持ちになれないのであれば、そのまま継続した方が心理的に良いかもしれません。



終身保険新ながいきくん(おたのしみ型)の長期的な「資産運用性」はイマイチ


新ながいきくん(おたのしみ型)の特徴


新ながいきくん(おたのしみ型)の基本保証に注目して、終身保険としての特徴を見てみます。例えば、死亡保険金1000万円で契約した場合、保険料を払い込む期間中であれば、死亡した時に1000万円が受け取れます。

特に、保険料を払い込み始めて数年で死亡した場合は、払い込んだ保険料よりも大きな死亡保険金を受け取れます。ここは、まさに新ながいきくんの保険のメリットでしょうか。外資系の保険商品と違って、資産運用がセットになっていない点も評価できます。

加えて、一生涯の保証がされる終身保険は、払い込み満了後、5年毎に一時金を受け取れるのは、一般庶民にとっては、とても嬉しい商品設計ではないでしょうか。お金が戻って来るので、この時は臨時収入的なイメージでして、とてもお得だと感じるはずです。

終身保険新ながいきくん(おたのしみ型)


新ながいきくん(おたのしみ型)の商品設計をじっくりと見た感想としては、最初の数年であれば、払い込んだお金より多くのお金(保険金)を受け取れるので、とてもお得だと思います。

しかし新ながいきくん(おたのしみ型)を長期的な資産運用商品のようなイメージでお得感を期待しているとしたら、保険屋のカモになっています。



新ながいきくん(おたのしみ型)が長期的にお得でない理由


繰り返しになりますが、新ながいきくん(おたのしみ型)を保険商品と見なした場合であれば、最初の数年はお得です。それは保険機能が働いて、払い込んだ資金よりも多くの保険金を受け取れるからです。

しかしながら長期的には、全く得ではありません。例えば、以下のような条件で20年払い込み完了する契約をした場合、20年間で合計1068万円払い込みます。払い込み終了後は、最終的には1000万円の保険金が戻って来るので、長期的には、損していますよね。

1000万円の契約では、68万円の損失、仮に500万円の契約なら、恐らく半分の34万円ほどの損になるはずです。

加入年齢:40歳
基準保険金額:1000万円
月額保険料:4万4,500円(年間44万5,000円)
20年間で払い込む保険料合計:1068万円

新ながいきくん(おたのしみ型)


しかも、これは20年~30年運用、利回りゼロと仮定した場合の損失額です。仮に、高利回りが期待できる資産運用をしていなくても、高金利の銀行で定期預金していると、もっと多額の利息を受け取っているはずですので、損失額は、もっと大きくなります。

例えば現実的に、あおぞら銀行の1年物の定期預金(金利0.25%)で、毎年更新しながら積立続けた場合を想定してみましょう。積立定期預金のシミュレーションは、知るぽるとを利用しました。

あおぞら銀行の1年定期の金利:0.25%
月額積立額:4万4500円
期間:20年

注:あおぞら銀行の現在の金利は0.2%となります




もしも高金利銀行で20年積み立てれば、1068万円の元本が利息で更に増えて、約1089万円まで到達します。それに対して保険金額は1000万円ですので、「機会損失」としては89万円となります。

しかも、その後も契約がつづいて資金がすぐに返却されないのだとしたら、損失額は100万円を上回るものになる可能性が高いです。

仮に500万円の契約であれば、ざっくり半分の50万円程度の損失。契約期間が10年であれば、超ざっくり25万円程度が、10年後に損する金額になると思います。よって、長期的にはまったくお得でないとの結論になります。

ただし、定期預金の場合は金利が変動しますから、20年間、同じ金利となるかどうかは不確実です。戻って来る保険料のようなある程度確実なものと、長期的な定期預金の金利のような不確実なものを比較するのは適切とは言い難い側面もあるので、あくまで考え方の一つとお受け取り下さい。

また、この商品は資産運用を主目的とした保険ではなくて、あくまでも死亡保障を目的としたものです。金額は少なくなりますが、その保障はまさに終身で続きますから、損したとしても、それはそもそもの目的が異なりますから、「仕方がない」ものなのです。

とはいえ、死亡保障が終身で続く必要性など、冷静に考えればそんなものはほとんど不要だと思いますし、夫婦共働きのご家庭で、奥様の方に死亡保障の付いた保険なども不要だと思いますので、やはり保険というのは十分に気をつけないとお金の無駄になる商品ですね。



単純に考えると、解約したほうが「損」になります


新ながいきくん(おたのしみ型)には、通常の解約返戻金タイプと、月額支払いの少ない低解約返戻金タイプの2通りが用意されています。今回はこの2コースに注目して、途中で解約すべきかどうか考えてみたいと思います。

以下の条件(かんぽ生命のウェブサイト掲載条件)で契約した場合、契約期間のちょうど半分の10年目で解約した場合と、20年の支払い完了時点で解約した場合について、戻って来るお金に注目して計算してみました。

・加入年齢:40歳で、60歳まで20年間払い込み
・基準保険金額:1000万円
・60歳以降、5年毎に200万円ずつ一時金を計4回受け取り、以降、生涯保障



新ながいきくん(おたのしみ型)低解約返戻金プランの場合、甚大な損失


低解約返戻金プランで払い込み期間契約の半分の10年で解約した場合は、支払ったお金の37.8%相当を失うことになります。この損失額を取り戻すのはとても困難ですので、解約は勉強代を支払ったと思う覚悟が必要かと思います。定期預金の利息で取り戻すのは不可能です。

新ながいきくん(おたのしみ型)低解約返戻金プラン


払込み済のお金 解約返戻金 一時金 手元に戻るお金 損失
10年目
(50歳)
519.6万円 322万7000円 - 322万7000円 ▲37.8%
20年目
(60歳)
1039.2万円 762万2000円 200万円 962万2000円 ▲7.4%



新ながいきくん(おたのしみ型)プランでも、中途解約の損失は大きい


新ながいきくん(おたのしみ型)プランは、払い込み期間がちょうど半分の10年目に解約した場合、資金の12%を失う事になります。こちらの損失額も、かなり大きいと思える水準です。このプランも、定期預金で損失を取り戻すのは難しいです。

新ながいきくん(おたのしみ型)


払込み済のお金 解約返戻金 一時金 手元に戻るお金 損失
10年目
(50歳)
534万円 468万2000円 - 468万2000円 ▲12%
20年目
(60歳)
1068万円 762万2000円 200万円 962万2000円 ▲10%


例えば、戻ってきたお金を元手にしてあおぞら銀行の0.25%の金利で運用した場合、20年たっても、損失が▲12%から▲8.7%に減少する程度にしかなりません。それほど、途中解約のダメージは、大きいのです。

結論としては、保険を途中解約する場合、定期預金の運用程度では損失を取り戻すのは不可能だということです。解約するのであれば、勉強代を支払ったと考えるほかありません。