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学資保険の相談なのに、外貨建て終身保険・オリックス生命の「キャンドル」を勧められた
このページは、貯金を貯めたい人のための質問と回答のコーナーです。定期預金や投資が大好きな管理人が、皆様のお悩みを無料でご回答差し上げます。
頂いたご質問(2019年7月、どんどんさま、30代・男性)
子供が生まれ学資保険の代わりになる物を検討するため、保険の相談窓口に行ってきました。
そこでお勧めされたのが、オリックス生命のキャンドルです。10年払込をする事で小学生の内に支払いが終わり、その後必要な時期までの数年間で為替を見計らい受取りする事をお勧めされました。
ドル建て系の保険は加入した事がなく、毎月の支払額が変動する事、受取額も為替次第なので少し不安があります。
老後の資金も含めイデコやニーサなども気になるのですが、全くの初心者の為不安が大きくなかなか先に進めずにいます。
やはりキャンドルのような保険は避けた方がいいのでしょうか?まとまりのない文章になってしまいましたが、宜しくお願い致します。
そこでお勧めされたのが、オリックス生命のキャンドルです。10年払込をする事で小学生の内に支払いが終わり、その後必要な時期までの数年間で為替を見計らい受取りする事をお勧めされました。
ドル建て系の保険は加入した事がなく、毎月の支払額が変動する事、受取額も為替次第なので少し不安があります。
老後の資金も含めイデコやニーサなども気になるのですが、全くの初心者の為不安が大きくなかなか先に進めずにいます。
やはりキャンドルのような保険は避けた方がいいのでしょうか?まとまりのない文章になってしまいましたが、宜しくお願い致します。
回答:元本保証ではない保険が、学資保険の代わりになる訳がない
どんどん様、子供のために将来の教育費を堅実に貯めるのは、非常に素晴らしいですよね。そういう事を全く考えないような親もいると聞きますし。ただ、学資保険の代わりにドル建て保険に加入する事は、極めて問題です。
学資保険と外貨建て終身保険は、全くもって別商品です。そして、学資保険のような客をおびき寄せる商品を用意して(売っても儲からない)、実際には外貨建て終身保険のような、保険会社がぼろ儲けできる商品を売りつけようとする。
保険の窓口がそのような推奨をしているとは実に由々しき事態であり、プロのくせして人を嵌め込むような提案をするなど、人間失格とまでは言いませんが、そういった類のダメな事例なのです。
保険の相談窓口では、米ドル建て終身保険Candle(キャンドル)を、「子供が小学生の内に支払いを終わらせて、必要な時期までの数年間に、為替を見計らって受取りする事」をお勧めされたとありますが、これが最大のリスクであり問題点です。
なぜなら、為替の値動きを見切って日本円で受け取る事は、資産運用の経験の無い人に、できる訳がありません。そんなに簡単なら、私はとっくに大金持ちになっているし、保険の相談窓口の人なども、あんなところで労働している訳がありません。また、為替の先行きを予想する事やタイミングを計る事は、プロでも極めて難しいと言われています。
教育費は将来必ず発生する資金用途であり、どれだけの金額が必要となるのか、今の時点でほぼハッキリと決まっています。相場の変動で教育費が不足する可能性もあるようなギャンブルの要素は、絶対に排除するべきです。(為替の暴落で、子供が大学に行けなくなっても良いと判断する家庭であれば、好きにやって良いのかもしれませんが。)
例えば、米ドル建て終身保険Candleを、30歳の人が15年払い込みで契約した時の払い込み保険料の累計と解約払戻金の表をご覧ください。15年の払込満了直後では払戻率は110.8%、18年目には117.6%、20年目には122.4%になり、タイミングよく日本円に戻せば良いように見えます。
しかし、過去の米ドルは、110円から80円まで4年連続で円高になった事があります。2008年から2012年頃のことですので、つい最近の為替の値動きです。ここ数年は110円前後で安定していますが、元々為替は常に大きく動くもので、安定しているほうが不思議です。世界経済の動向しだいでは100円以下の超円高になる可能性は十分にあるわけです。
仮に、円高になった場合の米ドル建て終身保険Candleの解約払戻金がどうなるのか、シミュレーションしてみましょう。シミュレーションを簡単にするために、保険の払込期間中は108円で安定しており、いざ教育資金が必要になって円に戻したいタイミングで円高が発生するケースとします。
教育資金が必要になった15年目に、為替が変わらずに108円であれば110.9%の払戻率でハッピーとなりますが、為替が10円の円高になる98円では払戻率が100.6%となり、損益がトントンです。
もしも20円の円高になってしまえば払戻率が90%になる訳で、10%の損失となります。仮に円高になっても、円安になるまで解約しなければ良いとの意見もあるでしょうが、その時に教育資金が必要になった場合、例えば大学入試を相場に合わせて1年間遅らせる事が出来るのでしょうか。
とうか、相場などいつ戻るか神のみぞ知る世界ですから、本当に必要な時に教育資金として利用できない商品を選択するのは、悪手なのです。このような為替のリスクは排除できないので、外貨建て保険を学資保険の代わりにするなど、ファイナンシャルリテラシー的に、あり得ません。
ところで、相談の文面に「老後の資金も含めイデコやニーサなども気になるが、全くの初心者の為、不安が大きくなかなか先に進めずにいる」との表現が気になりました。資産運用の初心者であるならばなおさら、決して減らせない将来の教育資金は、安全な金融商品を利用するべきでしょう。
老後の資金確保という意味では、流石にこれからの時代は貯蓄だけでなくて一定の投資は欠かせないと思いますので、イデコやニーサ等を可能な限りで良いですから、活用する事が求められます。これらの商品は、当サイトの姉妹サイトで解説しています。まずは勉強して欲しいと思います。
⇒参考:iDeCo(イデコ)確定拠出年金で、超絶にメリット大のインデックス投資
⇒参考:つみたてNISAで、超絶にメリット大のインデックス投資
今回は、教育資金向けの金融商品として、金利の高いあおぞら銀行の普通預金(普通預金なのに常時金利は0.2%で、積み立ての様に利用するものとします)、SBI債、ソニー生命の学資保険(無配当Ⅰ型)、じぶんの積立の4つを候補にあげてみます。
ソニー生命の学資保険(無配当Ⅰ型)を選んだ理由は、12歳という比較的早い時期に一時金を受け取れるからです。また、30歳からの契約で、返戻率が101.7%の想定で比較をしています。
https://www.sonylife.co.jp/examine/lineup/list/educational/
また、SBI債とじぶんの積立に関しては、以下のページも参考にしてください。
⇒参考:高金利!SBI債とマネックス債で、安全・確実に増やす!
⇒参考:明治安田の「じぶんの積立」は確かに良い商品だが、リスクとデメリットにも目を向けよう
⇒参考:定期預金か、学資保険か、どちらが良いのか大いに悩む
これらの4つの金融商品の簡単な比較表が、以下の通りとなります。資産の増え方が単純には比較できないので、具体的にシミュレーションしてみます。
毎年20万円を積み立てするイメージで、ソニー生命の学資保険やじぶんの積立の利回りを算出した結果が、以下のようになります。
単純な利回り比較という点においては、じぶんの積立の魅力が断トツです。中途解約しても元本以上が保証されますし、いまのところ、この商品を超える利回りの元本保証の商品はありません。実際に、それを認識している人達の間でこの商品は大人気となっています。
ただ、学資保険は利回りは低いとは言え、保険者が死亡した時に払込免除の特約があるので、将来の健康リスクをどこまで考慮するのかという点を勘案しても良いでしょう。別にどちらか一方にする必要も無いので、じぶんの積立と学資保険に資金を分割して積み立てても良い訳です。
最後に、ソニー生命も明治安田生命も、学資保険やじぶんの積立は「ドアノック商品」と言われている商品であり、客寄せパンダとして機能しています。
保険の相談窓口同様、たとえば明治安田生命に「じぶんの積立に加入したい」と依頼をすると保険相談員がやってきて、「もっと増やせる商品があります」とクズ人間まがいの提案をします。
そういった、本来の目的とは異なる商品を推奨されても、決して余計な契約をしないようにして下さい。「じぶんの積立以外は一切不要で検討もしない」という意思をはっきりさせて下さいね。
金融機関は、銀行も証券会社も保険会社も、そこに相談に行くとほぼ確実にボッタクリ商品を勧めてきます。本当にお金を貯めたいと思ったら、そのようなところに相談しないのが一番良いという、変な事になっているのです。
返事が遅くなり申し訳ありませんでした。 拝見させて頂きとても参考になりました。やはり外貨建てはやめて、学資保険などを中心に検討してみようと思います。
素人ではどの保険がいいのか分からずほけんの窓口を利用しましたが、やはり信用しすぎるのも問題ですね。こちらのサイトにいきついて良かったです! ありがとうございました。 大切な我が子の為にもう少し慎重に選びたいと思います。
学資保険と外貨建て終身保険は、全くもって別商品です。そして、学資保険のような客をおびき寄せる商品を用意して(売っても儲からない)、実際には外貨建て終身保険のような、保険会社がぼろ儲けできる商品を売りつけようとする。
保険の窓口がそのような推奨をしているとは実に由々しき事態であり、プロのくせして人を嵌め込むような提案をするなど、人間失格とまでは言いませんが、そういった類のダメな事例なのです。
為替リスクによって、損失を計上するケースを考える
保険の相談窓口では、米ドル建て終身保険Candle(キャンドル)を、「子供が小学生の内に支払いを終わらせて、必要な時期までの数年間に、為替を見計らって受取りする事」をお勧めされたとありますが、これが最大のリスクであり問題点です。
なぜなら、為替の値動きを見切って日本円で受け取る事は、資産運用の経験の無い人に、できる訳がありません。そんなに簡単なら、私はとっくに大金持ちになっているし、保険の相談窓口の人なども、あんなところで労働している訳がありません。また、為替の先行きを予想する事やタイミングを計る事は、プロでも極めて難しいと言われています。
教育費は将来必ず発生する資金用途であり、どれだけの金額が必要となるのか、今の時点でほぼハッキリと決まっています。相場の変動で教育費が不足する可能性もあるようなギャンブルの要素は、絶対に排除するべきです。(為替の暴落で、子供が大学に行けなくなっても良いと判断する家庭であれば、好きにやって良いのかもしれませんが。)
例えば、米ドル建て終身保険Candleを、30歳の人が15年払い込みで契約した時の払い込み保険料の累計と解約払戻金の表をご覧ください。15年の払込満了直後では払戻率は110.8%、18年目には117.6%、20年目には122.4%になり、タイミングよく日本円に戻せば良いように見えます。
しかし、過去の米ドルは、110円から80円まで4年連続で円高になった事があります。2008年から2012年頃のことですので、つい最近の為替の値動きです。ここ数年は110円前後で安定していますが、元々為替は常に大きく動くもので、安定しているほうが不思議です。世界経済の動向しだいでは100円以下の超円高になる可能性は十分にあるわけです。
仮に、円高になった場合の米ドル建て終身保険Candleの解約払戻金がどうなるのか、シミュレーションしてみましょう。シミュレーションを簡単にするために、保険の払込期間中は108円で安定しており、いざ教育資金が必要になって円に戻したいタイミングで円高が発生するケースとします。
教育資金が必要になった15年目に、為替が変わらずに108円であれば110.9%の払戻率でハッピーとなりますが、為替が10円の円高になる98円では払戻率が100.6%となり、損益がトントンです。
もしも20円の円高になってしまえば払戻率が90%になる訳で、10%の損失となります。仮に円高になっても、円安になるまで解約しなければ良いとの意見もあるでしょうが、その時に教育資金が必要になった場合、例えば大学入試を相場に合わせて1年間遅らせる事が出来るのでしょうか。
とうか、相場などいつ戻るか神のみぞ知る世界ですから、本当に必要な時に教育資金として利用できない商品を選択するのは、悪手なのです。このような為替のリスクは排除できないので、外貨建て保険を学資保険の代わりにするなど、ファイナンシャルリテラシー的に、あり得ません。
教育資金は、学資保険や「じぶんの積立」がベスト
ところで、相談の文面に「老後の資金も含めイデコやニーサなども気になるが、全くの初心者の為、不安が大きくなかなか先に進めずにいる」との表現が気になりました。資産運用の初心者であるならばなおさら、決して減らせない将来の教育資金は、安全な金融商品を利用するべきでしょう。
老後の資金確保という意味では、流石にこれからの時代は貯蓄だけでなくて一定の投資は欠かせないと思いますので、イデコやニーサ等を可能な限りで良いですから、活用する事が求められます。これらの商品は、当サイトの姉妹サイトで解説しています。まずは勉強して欲しいと思います。
⇒参考:iDeCo(イデコ)確定拠出年金で、超絶にメリット大のインデックス投資
⇒参考:つみたてNISAで、超絶にメリット大のインデックス投資
今回は、教育資金向けの金融商品として、金利の高いあおぞら銀行の普通預金(普通預金なのに常時金利は0.2%で、積み立ての様に利用するものとします)、SBI債、ソニー生命の学資保険(無配当Ⅰ型)、じぶんの積立の4つを候補にあげてみます。
ソニー生命の学資保険(無配当Ⅰ型)を選んだ理由は、12歳という比較的早い時期に一時金を受け取れるからです。また、30歳からの契約で、返戻率が101.7%の想定で比較をしています。
https://www.sonylife.co.jp/examine/lineup/list/educational/
また、SBI債とじぶんの積立に関しては、以下のページも参考にしてください。
⇒参考:高金利!SBI債とマネックス債で、安全・確実に増やす!
⇒参考:明治安田の「じぶんの積立」は確かに良い商品だが、リスクとデメリットにも目を向けよう
⇒参考:定期預金か、学資保険か、どちらが良いのか大いに悩む
これらの4つの金融商品の簡単な比較表が、以下の通りとなります。資産の増え方が単純には比較できないので、具体的にシミュレーションしてみます。
項目 | 定期預金 | SBI債 | 学資保険 | じぶんの積立 |
---|---|---|---|---|
あおぞら銀行 | SBI証券 | ソニー生命 | 明治安田生命 | |
資産の増え方 | 0.2% | 0.43% (2年) |
10年で積み立て 金額が101.7%になる |
10年で積み立て 金額が103%になる |
解約の容易さ | 容易 | 元本割れの可能性があり難しい | 解約可能 | |
解約時の ペナルティ |
普通預金金利に変更 | 元本割れ | 元本割れの可能性 | なし |
保険料払い 込み免除 |
該当せず | 保険者が死亡時は 払い込み免除 |
該当せず | |
生命保険料 控除 |
該当せず | あり(節税効果が加味される) |
毎年20万円を積み立てするイメージで、ソニー生命の学資保険やじぶんの積立の利回りを算出した結果が、以下のようになります。
単純な利回り比較という点においては、じぶんの積立の魅力が断トツです。中途解約しても元本以上が保証されますし、いまのところ、この商品を超える利回りの元本保証の商品はありません。実際に、それを認識している人達の間でこの商品は大人気となっています。
ただ、学資保険は利回りは低いとは言え、保険者が死亡した時に払込免除の特約があるので、将来の健康リスクをどこまで考慮するのかという点を勘案しても良いでしょう。別にどちらか一方にする必要も無いので、じぶんの積立と学資保険に資金を分割して積み立てても良い訳です。
最後に、ソニー生命も明治安田生命も、学資保険やじぶんの積立は「ドアノック商品」と言われている商品であり、客寄せパンダとして機能しています。
保険の相談窓口同様、たとえば明治安田生命に「じぶんの積立に加入したい」と依頼をすると保険相談員がやってきて、「もっと増やせる商品があります」とクズ人間まがいの提案をします。
そういった、本来の目的とは異なる商品を推奨されても、決して余計な契約をしないようにして下さい。「じぶんの積立以外は一切不要で検討もしない」という意思をはっきりさせて下さいね。
金融機関は、銀行も証券会社も保険会社も、そこに相談に行くとほぼ確実にボッタクリ商品を勧めてきます。本当にお金を貯めたいと思ったら、そのようなところに相談しないのが一番良いという、変な事になっているのです。
追記:質問者様からお返事を頂きました(^^♪
返事が遅くなり申し訳ありませんでした。 拝見させて頂きとても参考になりました。やはり外貨建てはやめて、学資保険などを中心に検討してみようと思います。
素人ではどの保険がいいのか分からずほけんの窓口を利用しましたが、やはり信用しすぎるのも問題ですね。こちらのサイトにいきついて良かったです! ありがとうございました。 大切な我が子の為にもう少し慎重に選びたいと思います。