40代の女性・資産1000万円からの投資の検討

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資産1000万円で、低リスクの分散投資とハイリスクハイリターン投資をやりたい


このページは、貯金を貯めたい人のための質問と回答のコーナーです。定期預金や投資が大好きな管理人が、皆様のお悩みを無料でご回答差し上げます




頂いたご質問(2019年9月、フクシさま、40代・女性)

初めまして!お金のことは全く素人でこれから勉強しようとしている時、偶然こちらの心強いHPを見かけました。よろしくお願い致します! 資産1000万円の中で

1.貯蓄  2.ローリスクの投資(NISA) 3.ハイリスクハイリターン投資


の割合と運用先をアドバイス頂けますでしょうか? また上記とは別に4.流動性のある日常使いの銀行も普通預金の利子が高く使い勝手の良い銀行※都内在住で入出金はATM利用です。現在日常使いはUFJ銀行をメインとしています。をご教示頂けますか?


1.これまでネット上の取引が怖く窓口しか利用していなかったのですがこちらのHPを拝見しネット開設も考えています。複数の金融機関・期間としたいです。老後資金で考えています。

2.初めてやる投資、NISAでは手数料をなるべく抑えたネットの分散投資がよいかと考えています。運用においては銀行では保険(信託銀行)や香港上海銀行1年で2.0%円建て社債、東京海上円資産ファンド等の運用を勧められました。

3.ハイリスクハイリターンとなる投資は50万程度スタートで試してまずそういう運用が自分に合うかみてみたいと思っていますが、50万という額は赤字の許容範囲で仮設定しました。


また認識が間違っていることがあればご指摘下されば幸いです。よろしくお願い致します。



回答:焦って投資する必要はなく、まずはのんびりと勉強をしてみましょう

フクシ様、当サイトへの定期預金に関するご質問、ありがとうございます。仕事に集中すると、お金の事を真剣に考える時間が無くなってしまって、つい、後回しになってしまいますよね。

実は、当サイト管理人も全く同様でした。お金について急に興味関心を持ったのは、同じく退職がきっかけでした。「これはダメすぎる」と悟ってから基礎的な事を沢山学び、今は誰よりもお金が好きな人間に「成長」したと思います・笑。

さて、今回のご質問を受けての回答としては、「焦る必要はない」という事でしょうか。現在、NISAでの運用やハイリスクハイリターン投資などを挙げておられますが、単なる思いつきか、既存の金融機関から聞いた事を適当に「整理整頓」しただけの事かも知れないなと感じました。

投資の初心者の行動



貯蓄について


貯蓄は、貯金だけ行って資産を増やしたいという人と、投資と並行して貯金も行いたいという人では、捉え方が異なります。

今回の場合は投資も行うという前提に立つと、一般的には生活費とは別の「生活防衛資金」と言われるお金を貯めるのが良いでしょう。性格によって程度が異なりますが、年収、あるいは年間の生活費に換算して、1年分~2年分程度を蓄える事がベターです。

普段の生活費は普通預金口座に入れておき、生活防衛資金は高金利の定期預金に入れておく事になります。普通預金口座は、金利が何と0.2%という信じられない好金利に引き上げられた、あおぞら銀行BANKが非常にお勧めです。

定期預金に関しては、地元の金融機関と、ネット銀行のいずれかにおいて、その時点で最も金利が高い銀行に預けておけば良いでしょう。色々と見て回るのが面倒であれば、SBJ銀行オリックス銀行にしておけば、ほとんど常時高金利なので、間違いないと思います。



NISA口座はローリスクローリターンとは限りません


さて、問題はここからです。投資が初めてだという事で、とりあえずお試しでNISA口座を活用するという事自体は、悪くありません。手数料は投資家のリターンをその分、削りますので、コストが低いネット証券で分散投資をするという考え方も問題ありません。

しかし、「香港上海銀行1年で2.0%円建て社債」などと気軽に書いていらっしゃいますが、この商品はごく普通の人がすぐに理解できるような商品ではなく、こういったものに手を出すという事自体が投資のカモになっているという証左でもあります。(商品説明は省略します)

香港上海銀行1年で2.0%円建て社債


また、NISAでは買えないと思いますが、銀行に勧められる保険も、ほとんどが極めて手数料が高いボッタクリ商品ばかりです。決して、相手にしてはなりません。

勧められた投資信託については、東京海上円資産ファンドの評価解説ページをご覧頂きたいのですが(姉妹サイトで解説・公開終了)、商品自体は悪くないものの、そもそも手数料を取られる時点でアウトです。

金融機関は恐らく、いくつもの毎月分配型投資信託を勧めてきているものと推定しますが、日本の投資信託のほぼ全てが、タコ足分配の酷い分配を行うものばかりであり、利用する価値のあるものは無いと言っても過言でもありません。

さて、NISA口座において、どんな投資を目指せば良いのか、具体的に申し上げるのは非常に難しいです。この部分は、次の「ハイリスクハイリターン投資」にも関連しますので、まずはそちらから書いていきましょう。



ハイリスクハイリターン投資とはいったい何?


ご質問に、50万円を用意してハイリスクハイリターン投資をしてみたいと表明されておられますが、具体的に何をどうするのか書かれておらず、何と申し上げて良いのか困惑します。(ネット取引が怖いとおっしゃいながら、ハイリスク投資をやってみたいというのも矛盾しています)

もしも、「50万円を全て失っても良いので、すぐに倍になるような可能性のある投資手法が有ったら教えて欲しい」という意味で書いておられるとしたら、投資の世界に入らないように強くお勧めしたいと思います

そもそも、「どんな投資が良いですか?」という時点で、それは投資家ではなくてコバンザメのようなものですし、そういう投資家が成功する訳が無く、むしろそのような人は、成功者の「養分」になって、常にお金を減らし続ける事になります。

ハイリスクハイリターン投資によって50万円がゼロになっても良いと簡単に考えているかもしれませんが、例えば外貨FXなどは、値段がすっ飛んで下に振れた場合、資金ゼロで終了するどころか、マイナス何万、何十万となって約定する事もあり、借金を背負う事にもなります。

2015年のスイスショックの時などは、チャートに値が付かなくて、数千万円の借金を計上して相場から退場した一般人も続出しました。つまり、不勉強な状態でハイリスクハイリターン投資など、決してやってはならないのです。

お金を取って人にアドバイスする人、あるいは将来的に金融商品を買ってもらう事を期待する立場の人ならば、ニッコリ笑っていくつかのハイリターン投資の事例を教えるかもしれませんが、私のように自由な立ち位置から物を申し上げるとしたら、「100%ノー」が回答になります。

(なお、私とフクシ様との間で「ハイリスクハイリターン投資」の解釈が間違っているかもしれません。そうであったとしても、投資の素人がハイリスクハイリターン投資をやるというのは全く感心しない事になりますので、止めるべきだという申し上げ方になります。)



まずは小額から、自分に合った投資が何なのかを見極めましょう


現在の状況は、定年を迎えて多額の退職金をもらった人が、マネーリテラシー向上の勉強をしないでそのまま銀行の窓口に直行して、銀行ばかりが儲かるようなクズ商品を一気に購入して、数年後に後悔で嘆き悲しんでいる状況に近いと言いますか、入り口に立っているような気がします。

実に不思議なのですが、例えばスーパーマーケットで見切り品だとか値下げ品などを買い、数十円からせいぜい100円単位の値下げにしかならないものを嬉々として購入しているような人たちが、こと投資になると、数十万~数百万単位のお金をロクに調べないで一気に突っ込むのは、一体どういう心境なのでしょうか。

実はこれは、強欲の裏返しでもあります。「自分は違う!」と拒否するのは生産的な考え方ではなく、投資とはその強欲さ加減とどう折り合いをつけるかの作業なのです。私だって強欲です。

フクシ様の場合、ローリスクな商品で元本割れを極力防ぎながら、ハイリスクな商品で高いリターンを目指してやろうという気持ちが、ヒシヒシと伝わってきます。

何度も書くところなので、遠慮なく書かせて頂くと、こういった強欲な気持ちを制御できないで投資した場合、絶対にそれは失敗に終わると肝に銘じて下さい。




まずは、ご自身にとってどのような投資が向いているのか全く分からない状況でしょうから、1つアドバイスするとしたら、つみたてNISAの制度(一般NISAではありません)を使って、月額33000円が上限の積み立て投資をしてみると良いでしょう。

つみたてNISAは金融庁の指導の下、ボッタクリ商品は皆無となっており、投資を始める前段階に立ちはだかる、銀行に騙される危険性をほぼ完全に回避できます。

基本的には株式投資信託を買い付ける事になる中、バランスファンドに関しては、値動きがマイルドになる債券などの資産クラスも含める事が出来て、分散効果が発揮されます。

本当は個別の商品などは推奨すべきではないかもしれませんが、流石に何も無いと試す事さえもできなくなりますので、例えば購入手数料無料で、信託報酬が0.22%と超低コストのたわらノーロード バランス(標準型)を上限以下の任意の金額を積み立ててみてはいかがでしょうか。

そして2~3年程度積み立てを行って、日々、あるいは毎月の価格変動が実際にはどの程度のものかを肌間隔で掴んでください。一度くらいは強烈な下げ相場が有ると思いますので、それを実際に体験してみて、全く動じなかった場合は性格的にリスク許容度が高いと判断できますし、逆にうろたえるようならばリスク許容度が低いと考えられます。

リスク許容度が高い場合は、もっと株式への投資割合が高いファンドに積み立て先を変えるか、あるいはつみたてNISA以外の一般の証券口座を使って、別のバランスファンドや株式投資信託を買い付けるといった事になるでしょう。

それでも価格変動に特に心が折れたりしなければ、初めて「もっとハイリスクな投資をしてみても良いかな」と検討する事になります。

(なお、債券への投資割合をゼロにして、株式だけに投資する資産配分にするだけで、一般的にはかなりのハイリスク投資になります。敢えて、変なハイリスクハイリターンを狙わなくても良いと思います。)

貯金は不勉強でも決して損はしませんが、投資は焦ったら負けです。相場は逃げも隠れもせずにご自身の目の前にあり続けますので、じっくりと悠然と、勉強を続けながらそれと向き合ってください。

なお、投資信託に関しては、まずはこの本を読んでみて下さい。基礎の基礎が身に付くはずです。世の中に存在する大半のダメな商品と、それ以外のごく少数の良い商品を見分ける事が出来るようになり、投資でリターンを上げるのはそれからです。


新・投資信託にだまされるな! ---買うべき投信、買ってはいけない投信